あなたを諦めきれない元許嫁じゃダメですか? (角川スニーカー文庫)
物語の概略:
城木翼は、小学生まで天海七渡と一緒に過ごした幼馴染で、大の仲良し。
翼は親に頼んで七渡の許嫁にしてもらいましたが、七渡は家庭の事情で引っ越すことになり離れ離れに・・。
5年後、翼は七渡と同じ高校に進学するために上京し、再会を果たします。
翼は七渡に変わらぬ想いを伝えるつもりでしたが、その前に立ちはだかったのは容姿抜群なギャル・地葉麗奈。
翼と麗奈は「七渡に告白させた方が勝ち」というルールを決め、アプローチ合戦を繰り広げます。
恋愛経験に乏しいながらも、一生懸命に試行錯誤を繰り返す二人はとても健気に感じます。
翼、七渡、麗奈各々のモノローグが交代で展開される方式は珍しいですが、各自の視点や思いが明確になっており、効果的だと思います。
「イチャかわヒロインレース」という名の甘いラブコメを楽しみたい人におすすめです。
積極性にアプローチするヒロインたち:
恋愛でも婚活でも、自分が狙う相手にはライバルがいるのが普通です。
ライバルを出し抜いて自分に振り向いてもらうには、積極的なアプローチが必須。
このラノベ「あなたを諦めきれない元許嫁じゃダメですか?」では、翼と麗奈という二人のヒロインが、恋愛成就のために必死のバトル(?)を繰り広げます。
1)
田舎者だった翼は、美容院に行き、コンタクトにして、イメージチェンジをした。
2)
ヒロインは二人とも、服装がおしゃれで色気がある。
3)
七渡と二人きりになるチャンスを意識的に作り、好意を伝える。
4)
喜怒哀楽が豊かで、意志表示を明確に行っている。
5)
ヒロインみずからボディタッチの効果的に使っている
6)
遊び(カラオケ、指令カードゲーム、ポッキーゲーム)を積極的に提案し、親睦を深めようとする
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話は変わりますが、恋愛や婚活が上手く行かない女性は受け身の傾向が目立ちます。
努力も行動もせず、ただ待ち続けていれば、そのうち理想の人が迎えに来てくれるという妄想に囚われている、いわゆるシンデレラ症候群。
相手の男性は自分が何も言わなくても忖度し、サービスして機嫌を取ってくれるのが当然と思っている勘違い女性。
デート内容の希望も言わず提案もせず、接待してもらって当然と思っている。
こういう受け身女性がいい人と出会うことはないですし、出会えても直ぐにフラれるでしょう。
奥手だとか、話下手だとか、引っ込み思案とか、つならない言い訳をしている人たちは、是非とも、このラノベのヒロインたちを見習ってほしいと思います。
ギブの精神にあふれる主人公男子:
目先の自分の損得しか興味がない人はモテません。
このラノベ「あなたを諦めきれない元許嫁じゃダメですか?」の主人公男子:天海七渡は、目先の損得は脇に置いて、他人のために尽くすことができるタイプです。
現代では珍しい絶滅危惧種(?)といってもいいでしょう。
背が高いわけでも、イケメンでもなく、何か特別な技能があるわけでもない。
それでも可愛いヒロイン二人から求愛されるのは、ギブの精神にあふれた好男子だからです。
具体例を挙げましょう。
1)
まだ麗奈とは友人ですらなかった中学時代、彼女を不良から助けた。
2)
当たり前のように落ちているごみを拾う。
3)
自転車が故障して困っている小学生を助けた。
4)
学業が思わしくなかった麗奈に勉強を教えて、同じ高校に行けるようにした。
5)
レディーファーストを自然に実践できるなど、気遣いができる。
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他人に尽くすことで満足感を得ることが出来る。
つまり、損得勘定のない心の交流ができる素地(恋愛に必要な条件)を持っていると言えるでしょう。
だからこそ、ヒロインは彼に器の大きさを感じ、安心感を得られ、ずっと一緒にいたいと思えるのです。
モテなくて困っている男子は、このラノベの主人公:天海七渡の行動が大いに参考になるのではないでしょうか。
まとめ:
幼馴染でしかも許嫁がヒロインというのは珍しいラブコメ設定だと思います。
このラノベ「あなたを諦めきれない元許嫁じゃダメですか?」は、楽しみながらストレスを溜めることなく読められます。
イラストもとても可愛く、癒されます。
第一巻は、高校入学からの約1か月間を描いており、まだまだ物語は始まったばかり。
あとがきでの作者の言葉を引用して、この記事を終わりにしたいと思います。
「時にはすれ違ったり、時には協力したり、時には衝突したり、時には急接近したり…… そんな読み応えのある物語を読者様に届けることができたらなと思います」
あなたを諦めきれない元許嫁じゃダメですか? (角川スニーカー文庫)
以上