放課後の図書室でお淑やかな彼女の譲れないラブコメ (ファミ通文庫)
あらすじ
真壁静流(まかべしずる)は高校二年の男子で、母子家庭育ち。
しかし不幸な事故で突然母親を亡くし、一人自宅で途方に暮れていました。
そんな時に現れたのが、父親を名乗る一人の男性。
彼には娘がおり、三人で暮らさないかと提案してきました。
とりあえず一か月だけお試しで同居を始めましたが、彼の娘:蓮見紫苑(はすみしおん)は真壁静流の異母姉で、半分だけ血がつながっていたのです。
蓮見紫苑は、真壁静流と同じ高校で学年は一つ上の美少女。
そして、彼女と同じくらい学校で人気がある瀧浪泪華(たきなみるいか)も高校三年生の美少女であり、図書室で真壁静流に積極的に絡んできます。
さらには、壬生奏多(みぶかなた)というミステリアスな高三女子も、真壁静流と浅からぬ関係がある様子。
この物語は、三人の美女たちが主人公男子と絡みつつ、関係を発展させていくラブコメです。
2021年5月現在、第二巻まで発売中。
主人公男子を取り巻くのは3人の年上美女
学校であまり冴えなくても、ラブコメの主人公男子はモテる設定になっています。
でも、三人の年上女性と仲良くなるパターンは珍しい。
一人目の蓮見紫苑(はすみしおん)は異母姉ですが、いわゆるツンデレ。
素直に好意や優しさを表現するのが苦手です。
でも、不器用ながらも真壁静流(まかべしずる)と家族関係を構築することに成功します。
二人目の瀧浪泪華(たきなみるいか)は、ラノベの表紙を飾る美少女で、学校ではお淑やかなイメージを振りまきつつ、猫をかぶっています。
だけど、真壁静流に対しては裏の顔である素で対応し、親睦を深めていきます。
図書委員である真壁に会うため、足繁く図書室に通い、積極的なアプローチを繰り返す日々・・
三人目の壬生奏多(みぶかなた)は、真壁静流にとって先生のような憧れの存在。
真壁のことをからかったり、相談にのったりはするけれど、二人の関係はある一定以上親しくはならない。
知り合ってから長く、毎日図書室で会えるけれども、関係性は膠着状態で脈なしという感じです。
以上述べたように関係性は様々だけど、学校を代表するような三人の年上美女を独り占めしているような状態なのです。
なんか羨ましいですね。
恋愛に必須の素養とは?
ラノベの表紙を飾る瀧浪泪華は、三人の美少女の中で唯一、真壁静流に直接アプローチし好意を伝えています。
二人は相性もいいし、お互い素を出し、猫をかぶる必要がありません。
つまり、真壁静流がOKと返事すれば付き合える相手が瀧浪泪華なのです。
でも真壁は、自分は恋愛に向かないと自嘲して、瀧浪泪華を受け入れようとしません。
なぜか?
真壁静流は自分に自信がなく、自分が本当に瀧浪泪華が好きなのかすらよくわからない状態なのです。
空気を読んで、人の期待に応えるために自分はどう振る舞うべきか忖度する技術は磨いてきたけど、確固たる自分を確立することを怠ってきたのです。
空気を読みすぎず、悪者になるのを恐れず、自分の感情に正直になることを覚える。
これが主人公:真壁静流の課題でしょう。
自分というものを持たず、空っぽな自分のままでは、女性から言い寄られても応えることはできないですよね。
不器用でもいいから積極的に試行錯誤を行い、相手や周りの反応も確かめながら、自分に気づき自分を確立していくべきでしょう。
「放課後の図書室でお淑やかな彼女の譲れないラブコメ」まとめ
このラノベを読んだ率直な感想は、「年上の美しい女性たちに気に入られて羨ましい」です。
年上の美女たちに振り回されているようで、逆に、振り回している場面もあります。
特別にハイスペックというわけでもない主人公:真壁静流がどうしてモテるのか、その人間的魅力は読んでみればわかります。
第二巻で、瀧浪泪華が具体的に解説する場面があるのですが、それは一言でいえば他者への奉仕精神といえるもの。
自分を殺して他人を慮る真壁の性格が生かされているといえるでしょう。
このラノベでは、主人公の心理的変容とともに、年上女性たちとの関係も変わっていきます。
ゆっくりとゆっくりと、その変化を楽しみたい人におすすめです。
どんな展開の末に、最終的に誰と結ばれるのか?
本当に、表紙の美少女なのか?
いろいろと想像を膨らませながら、じっくり読んでいくことをお勧めします。
放課後の図書室でお淑やかな彼女の譲れないラブコメ (ファミ通文庫)
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以上