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ラノベのレビュー「義妹生活」:赤の他人が家族になる物語

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義妹生活【電子特典付き】 (MF文庫J)

「義妹生活」物語の概略:

ラノベの世界でも現実世界でも珍しくなくなった、子持ち親同士の再婚。

親同士は好き合って一緒になりますが、連れ子同士は自分たちの意志と関係なく同居を余儀なくされます。

このラノベ「義妹生活」でも、主人公の浅村悠太と綾瀬沙季は、ある日突然、兄妹として一つ屋根の下で暮らすことになりました。

二人は学年が同じ高校生で、通う学校も同じ。

集団行動を好まない性格の悠太と沙季は、お互いに期待せず適度な距離感を保つという約束をします。

ドライな雰囲気から始まった二人の関係が、時間とともに変化する様子を丁寧に描いているラノベ「義妹生活」。

派手な演出はないものの、人間関係の機微をじっくりと味わうことができる恋愛生活小説です。

2021年9月現在、3巻まで発売中。

家族でもお互い干渉しないことは可能?

仕事であればお互いのプライベートに干渉せず、ビジネスライクな表面上の付き合いで済ますことが可能です。

しかし、人生の核である家庭でその姿勢を貫き通すことは不可能ですし、無理やり押し通そうとしたら家族の意味がありません。

損得勘定を超えた心の交流は家族ならではのもの。

「私はあなたに何も期待しないから、あなたも私に何も期待しないでほしいの」

初対面で、義妹の沙季から持ち掛けられた要望を、義兄の悠太はあっさり承諾。

しかし、そんな「適度な距離」を保ったドライな関係は、同居開始後一週間もせずに維持不可能なことが露呈します。

驚いたり驚かされたり、注意したりされたり、怒ったり怒られたり・・・。

様々なイベントを通じて、二人の関係は近くなっていきます。

もともと赤の他人とはいえ、兄妹として同居をするわけですから、当たり前と言えば当たり前ですね。

参考記事:
相手が自分を好きか確かめる方法:5種類の男女関係を解説 

丁寧にコミュニケーションを積み重ねることの大切さ:

悠太と沙季は、気遣いができるという点で大人です。

生活上、少しでも気になることがあれば、都度丁寧に話し合います。

相手に問いかけ、話に耳を傾け、質問をし、理解をし、自分の考えも述べて、お互いの立場をすり合わせていく。

地道だけど必要不可欠なコミュニケーションを毎日丁寧に積み重ね、家族として共同生活をしていくための精神的基盤を構築していくのです。

具体的なエピソードはネタバレになるので書きませんが、一つ一つは日常生活に根差したありきたりなものばかり。

食事、炊事、洗濯、風呂、通学、バイト、交友関係・・・

血のつながった家族でも、ここまで丁寧にコミュニケーションしている人は少ないのではないのでしょうか。

是非とも、ラノベを読んで確認してほしいと思います。

居心地の良い関係が恋愛感情に結び付く?

実際にラノベを読むと分かるのですが、主人公の悠太と沙季は、出逢いの初期からしっかりと会話のキャッチボールができる関係でした。

お互いに納得と共感を得やすく、精神レベルや価値観も似ている二人。

言葉を口に出す前に相手の考えていることを察することができるケースも多い。

これは、二人の相性がよく波長が合っている証拠。

悠太と一緒にいると楽だし落ち着く感覚があると、沙季はモノローグの中で語っています。

優しく気遣いが出来、自分のことをよく理解してくれる悠太に対する恋愛感情が芽生えるのは必然でしょう。

甘えちゃいけないと思いつつ、でも、甘えたいという感情を認識せざるを得ない沙季。

そんな小さな葛藤が、ラノベ一巻の最後で表現されています。

さらに二巻、三巻と物語が進むにつれ、お互いの嫉妬や好きという感情がドンドン育っていきます。

しかし、同居する兄妹という関係なので、あからさまに好意を表現できない。

そこらへんの葛藤も見どころの一つです。

「義妹生活」まとめ:

恋愛生活小説と表現される「義妹生活」。

コメディ要素はほとんど無いので、ラブコメとは言えないかもしれません。

派手な演出もなく、人によっては、地味な印象を受けるでしょう。

しかし、家族や恋愛など人間関係の機微に興味がある人はきっと楽しめると思います。

一週間の出来事が、各曜日ごとに丁寧に描かれているのも新鮮です。

是非、読んでみてくださいね。


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以上

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