物語の概略:
高校二年生の「せんぱい」は、彼女はおろか女友達もいない草食系男子。
そのせんぱいから「後輩ちゃん」と呼ばれる高校一年生女子は、小悪魔的な魅力を持つ美少女。
そんな二人の交流は、後輩ちゃん女子がせんぱいの落とし物を駅で拾うところから始まりました。
積極的にアプローチをしてくる後輩ちゃんから逃げられない奥手のせんぱい。
「わたしはせんぱいのことが知りたいですし、せんぱいも知らないことを知るのが好き。だからお互い、1日1問ずつ──100コの質問をできることにしましょう」
お互いに質問をして相手を知り、徐々に仲良くなっていくプロセスを描いている青春ラブコメです。
2021年5月現在、第二巻まで発売中。
お互いを知るために質問して仲良くなっていくプロセス:
一緒の登校、デート、ライン、電話などを通してコミュニケーションを繰り返すせんぱいと後輩ちゃん。
相手のことを知り自分のことを知ってもらうために、お互いに質問をするのは必要不可欠。
短期間で急速に仲良くなれたのは、ほとんど毎日会って話をしているからです。
質問の内容や順番は、基本的に後輩ちゃん側がリードしており、なかなか戦略性を感じます。
一方、奥手の草食系せんぱいは生徒会長なのになぜか口下手。
コミュ力のある後輩ちゃんとのコミカルなやり取りは、読んでいて思わずニヤニヤしてしまいます。
いろんな話をして楽しい時間を過ごすうちに、友達以上の親密さを感じはじめ、異性としてドキドキしてしまう機会も増えていきます。
では二人の関係は、友人や親など第三者からはどう見えるのか?
その意見に触れることで、せんぱいと後輩ちゃんは自分の気持ちと向き合うことに・・。
このラノベでは、愛情を育てるための理想的なプロセスを見せられていると感じました。
一緒にいて楽しいと思える人に出逢うために何をすべきか?
後輩ちゃんは美少女なだけあって、過去に男子から告白された回数は多い。
とりあえず断らずに付き合うのですが、相性が合わず、デートを1~2回した時点で交際終了することを繰り返していました。
これは、彼女が飽きっぽいのではなく、ずっと一緒にいて楽しいと思える相手に出逢える確率が少ないことを意味します。
話は変わりますが、現実世界の婚活でアポやお見合いを繰り返しても、真剣交際に行ける確率は10~20人に一人程度の確率です。
つまり、ほとんどのアポは、一緒にいてつまらないことを確認するだけで終わるのです。
つまりヒロインの後輩ちゃんは、せんぱいという運命の人に出逢うためのプロセスを踏んでいたと言えるでしょう。
受け身ではない、健気な努力が実を結んだと思います。
安定した関係を築くためのカギ:
このラノベ「わたしの知らない、先輩の100コのこと」を読んでいると、男女関係を安定させるために必要なことが二つ分かります。
1)素を出すこと
やりたいこと、やりたくないことをハッキリ言う。
文句や不満を言う。
無理せず、飾らず、本音で話す。
後輩先輩という関係であっても、遠慮がありません。
だからストレスが溜まりにくく、ずっと一緒にいても楽しいし、飽きないのです。
2)正直で誠実であること
一日一回行われる「今日の質問」では、絶対に正直に答えなくてはならないというルールがあります。
せんぱいも後輩ちゃんも真面目なので、毎回正直に答えるべく頑張ります。
都合が悪ければ嘘をつくということも可能なのですが、絶対にしない。
これは、自分の都合よりも相手の立場を思いやるという姿勢につながっています。
だからお互いの信頼関係が醸成されるし、愛情も育つのです。
マッチングアプリで詐欺的な活動をしている人には、理解できない価値観かもしれませんね。
奥手の草食系男子の夢?
このラノベ「わたしの知らない、先輩の100コのこと」は、奥手の草食系男子に夢を与えてくれるラブコメだと思います。
ある日突然美少女から話しかけられ、積極的にリードしてもらいながら交流を重ね、しかも一緒にいて楽しいと感じられる相性の良さ。
短期間で急速に仲良くなり、周囲の後押しやフィードバックも適切でグッドタイミング。
2021年5月現在、まだ第三巻は発売されていませんが、出会って100日目には正式なラブラブカップルになることでしょう。
婚活で10年ほど苦労していた私からすれば、正直、とても羨ましく感じられました。
一般的に、草食系男子は受け身の人が多く、狭い殻に閉じこもり、なかなか自分を変えられません。
彼女が欲しいと思ったら、このラノベの後輩ちゃんを見習って、積極的に行動することをおすすめします。
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わたしの知らない、先輩の100コのこと1 (MF文庫J)
以上