継母の連れ子が元カノだった 昔の恋が終わってくれない (角川スニーカー文庫)
あらすじ:
「継母の連れ子が元カノだった」というタイトルが示す通り、親の再婚による家族構成の変化が物語のきっかけとなっています。
水斗(みずと)と結女(ゆめ)は、中学時代に付き合っていましたが、卒業と同時に別れることに・・。
しかし、その二週間後にお互いの親が再婚し、義理のきょうだいになってしまいます。
元カレと元カノが、高校進学と同時に家族として同じ屋根の下で暮らし始めるという設定は、なかなか刺激的。
二人は再婚した両親に心配をかけないよう配慮しつつ、折り合いをつけるために試行錯誤します。
その過程で起きる様々なイベントやドタバタを通して、二人の関係は変化していくことに・・・
その変化の様子がとても楽しいラブコメです。
水斗(みずと)視点のモノローグと結女(ゆめ)視点のモノローグが入れ替わるので、両者の心理が良く分かります。
2021年3月現在で、ラノベは第6巻まで刊行済。
イラストが可愛く、キュンキュンニマニマしながら恋愛ものを楽しみたい人にオススメです。
「連れカノ」ポイント(1)飾らない本音の応酬
水斗(みずと)と結女(ゆめ)は、中学生時代に長く付き合っていたため、お互いの良いところも悪いところも良く知っています。
喧嘩別れしたくらいですから、言葉のやり取りにも遠慮がありません。
猫をかぶらず、あけすけの本音で、意志表示が明確。
ドタバタ感はありますが、会話にじれったさを感じることが少ない。
一度は交際してた男女なのでコミュニケーションの基盤が出来ており、本音を隠すことによるストレスとは無縁なのです。
良い人ばかりを演じて、なかなか彼氏彼女が出来ない人は参考になると思います。
「連れカノ」ポイント(2)一緒にいて落ち着く人は尊い
前項とも関連しますが、恋人に選ぶなら一緒にいて落ち着くことが重要です。
主人公の水斗(みずと)と結女(ゆめ)は、基本的には波長が合っており、沈黙が苦になりません。
趣味友達である水斗と東頭いさなも相性バッチリ。
幼馴染同志である川波小暮と南暁月も、いがみ合ってばかりいるようで、実はお互い飾らずにいられる貴重な存在です。
学校でも職場でも、本音で付き合える仲間は少ないもの。
期待された役割を演じたり、空気を読んだりして、ストレスがたまる生活の中で、家族や恋人の存在は救いになります。
顔を見るとホッとして、一緒にいるだけで楽しい関係。
そのような尊い関係を大切にして、時間をかけて育てていく必要性を感じさせてくれます。
「連れカノ」ポイント(3)失敗による経験値蓄積の大切さ
水斗(みずと)と結女(ゆめ)の交際は中学二年から始まります。
当時は陰キャだった結女(ゆめ)側の勇気ある告白により、しばらくは仲睦まじい状態が続きますが、中学3年以降はギクシャクという設定です。
上手く行かなかった原因は、独占欲や嫉妬心を上手くコントロールできなかったこと。
お互いを責めるような言動をして、お互いを許せず、連絡頻度も少なくなり・・・
大らかさや柔軟性を発揮できればよかったのですが、そこまで大人ではないし強くもない。
スキルや経験不足による失敗が、中学卒業時の関係破綻につながったのです。
幸い、親同士の再婚により同居を強いられ、しかも同じ高校の同じクラスで席も隣同士なので、やり直しの機会を得たという訳です。
過去の失敗から得た経験値を、今後の交際にどう生かし、どのように発展させられるのか。
元カレ元カノの関係を、彼氏彼女の関係に戻せるかは、過去の失敗を踏まえてお互いの悪いところを改善できるかどうかにかかっています。
実際の失敗体験を若いうちにたくさんして、たくさん恥をかく。
こういう機会があるというのは、とても恵まれていると思います。
「連れカノ」ポイント(4)外見や仕草の影響
男女交際においては、外見の影響はかなり大きいです。
結女(ゆめ)は、高校デビュー時に眼鏡をはずし髪型を変え、大幅なイメージチェンジをしました。
デートでの服装も思わず人目を惹くほどの超かわいいレベル。
水斗(みずと)は外見に無頓着でしたが、友人の助けを借りて髪型と服装を洗練させ、デート時に結女(ゆめ)から「カッコいい!」と思わせることに成功します。
仕草も重要です。
ゲームに負けた結女が、恥じらいながら上目遣いで「お、おにいちゃん・・」と呼びかけると、水斗は恥ずかしさのあまり目を背けてしまいます。
デート時に知的系かつワケアリ系好青年に変身した水斗が、前髪を指先で触る仕草が様になりすぎていて、結女は心の中で叫びます「ヤバいヤバいヤバいヤバい・・・」
また、デート時の水斗のエスコートが紳士的で気遣いに溢れたものだったため、結女はニヤニヤ笑いを隠すのに苦労します。
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前述の通り、このラノベはイラストがとても可愛いです。
イラストを堪能するときには、外見や仕草の重要性ということも念頭に置いてほしい思います。
「連れカノ」ポイント(5)一緒に楽しめる趣味が交流を促進する
中学時代、水斗(みずと)と結女(ゆめ)が出会ったのは学校の図書館。
読書という共通の趣味が二人を引き合わせたのです。
どちらか一方が読書嫌いだったら、出会っていなかったでしょう。
お互いに読書という共通の趣味があったからこそ話が合い、一緒に過ごす時間も増えていったのです。
そして付き合い始めた後のデート場所も、共通の趣味が大きく影響します。
図書室、図書館、本屋、古本市・・・
行動範囲は狭いですが、お金がない学生にとっては安上がりでいいと思います。
ラノベの中では、読書好きの二人ならではの軽快なやり取りが見られ、二人にしか理解できない世界が形成されています。
このように、一緒に楽しめる趣味があると、出会いのきっかけとしてもお互いを理解して交際を深めるにも好都合。
自分が楽しめて熱中できる趣味を一つでも持っておくことの重要性を感じました。
「連れカノ」まとめ:
「継母の連れ子が元カノだった」は私にとって大当たりのラノベであり、ラブコメ好きの人に強く推奨します。
男女の心理描写や恋愛ノウハウ的なこともたくさん盛り込まれており、学生さんだけでなく適齢期の婚活者にもオススメです。
2021年3月現在、アニメ化の話は聞きませんが、是非ともアニメ化してほしいと思います。
このラノベの面白さを味わっていただくためにも、是非一度手にとってみてください。
継母の連れ子が元カノだった 昔の恋が終わってくれない (角川スニーカー文庫)
追記:「連れカノ」第七巻を読んだ感想
2021年7月30日に第七巻がが発売されたので、さっそく電子書籍で購入し読了。
主人公男子の水斗(みずと)とヒロインの結女(ゆめ)の両片想い関係は、かなり安定している印象でした。
水斗(みずと)が他の女友達と二人きりで遊んでいても、結女(ゆめ)がやきもきすることもない。
家では、学校での出来事や人間関係について情報共有し、良い相談相手になっている様子。
水斗(みずと)のヘタレぶりは相変わらずですが、逆に結女(ゆめ)からのアプローチは結構大胆でした。
ネタバレになるので具体的には書きませんが、家の浴室イベントや、体育祭イベントが何らかの心理的距離を縮めたと思います。
家族として一つ屋根の下で生活し、かつ、元恋人としてヨリを戻しつつある二人。
二人はこの絶妙な関係を、タイトルの表題通り「もう少しこのまま」続けたいようです。
「連れカノ」は次巻以降も目が離せません。
継母の連れ子が元カノだった7 もう少しだけこのままで (角川スニーカー文庫)
以上